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【テニプリ】闇菊【R18】

第48章 【ケツイトカクゴ】




……どうしてこんな風になっちゃったんだろう……?


英二くんはずっと優しくて……
空港で私を助けてくれてから凄く優しくて……


たとえセフレでも、恋人になれなくても、ただ英二くんが私のそばで、優しく笑いかけてくれるだけで幸せだったのに……


チラッと視線をあげて、机の上の2つ並んだマスコットチェーンを眺める。
お互いが相手の好きなものを見つけて笑いあった。
買ってくれるというのを遠慮する私に、英二くんがプレゼント交換することを提案してくれた。


笑顔で付けてくれて、それから、特別な場所に連れて行ってくれて、優しく抱きしめてくれて、それからキスしてくれた。


だけど、ちょっと英二くんの様子が可笑しいのに気が付いて……
あんな必死なキス、初めてだったから戸惑って……
英二くんは夢中になったからだって言ってたけど、でもそうとは思えなくて……


私には英二くんの内面に踏み込むことが出来ないから、英二くんが何も言ってくれない以上、私も何も言えなくて……


だけど、様子がおかしいのに気がついていたのに、その後は普通だったから……
私ったら、そのまま何も考えずに行動しちゃって……


不二くんと話をしていたら、また急に英二くんの様子がおかしくなって……
少し強引にベッドに寝かされて、私を求める英二くんは凄く苦しそうで……


今思えば、英二くん、気持ちが不安定になっていたんだから、逆らっちゃダメだったのに……
英二くんが好きか聞きたがっていたんだから、意地を張らずにちゃんと言えばよかったのに……


だけどどうしても、英二くんを好きって気持ちを、英二くんに直接、言葉にすることが出来なくて……


行為の途中だというのに、私に背を向けて手を振り払った英二くんの冷たい視線を思い出し、また胸が張り裂けそうに痛んで、大五郎を抱きしめる腕に力を込める。


英二くん……そう名前を呼んでまた涙を流した。

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