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【テニプリ】闇菊【R18】

第48章 【ケツイトカクゴ】




「お願い……行かないで……」


震える身体、かすれる声、溢れる涙……
不安で押しつぶされそうな胸をおさえながら、必死に声を絞り出す……


『小宮山……オレのこと……好き?』


様子がおかしかった英二くんが行為の最中に震える声で問いかけた言葉。
目を見開いて、それから慌てて視線をそらした。


英二くん……?
どうしてそんなこと聞くの……?


私にそれを言わせるの……?
英二くんは私を絶対好きになってくれないのに……?


嬉しいけどごめんねって、そう言うために言わせるの……?


酷いよ……


『……芽衣子ちゃんはオレに抱かれながら、さんざん言ってくれたけどね……』


その瞬間、全身を引き裂かれたかと思った。
酷い……、思わずついた英二くんを責める言葉……


そんなの最初から解ってることじゃん?って……
それでもいいって言ったのは誰だよ?って……


そうだったね……
でも英二くんが凄く優しかったから、私、また勘違いするところだったよ……


着替え始めた英二くんにどこに行くのか聞いたら、誰の間違いじゃん?って……
私には関係ないじゃんって……


私が英二くんの意に添わなかったから、他の……もしかして、鳴海さんのところに向かったの……?


英二くん……


英二くんを追いかけて慌てて適当な服を着て、裸足のまま飛び出した玄関前……
フラフラと立ち上がり、家の中へと歩き出す。


何とか部屋までたどり着いて、パタンと部屋のドアを閉めるとその場に泣きながら崩れ落ちる。
涙が溢れてうまく息も吸えなくて……
英二くん……お願い……帰ってきて……、そう何度も繰り返した。


ふと目に留まった大五郎……


大丈夫だよね……?
英二くん、大五郎をおいたまま、居なくなったりしないよね……?


ちゃんと戻ってきてくれるよね……?
ギュッと大五郎を抱きしめてそのお腹に顔を埋めた。

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