第47章 【オレノコト】
「あ、あの……英二くん、ごめんなさい……」
だから謝んなって……
「私、あの……言いたくない訳じゃないんです……」
オレが聞きたいのはそんな言葉じゃないっての……
「ちょっと、その……だって……恥ずかしいし……それに……」
もういいよ、そうオレの冷たい声が部屋に響いて、背中に怯える小宮山がビクッと肩を振るわせた気配を感じた。
不安と苛立ちがグチャグチャに混じり合って暴走する。
ダメだって、絶対、それだけは言っちゃ、ダメだって!
そう頭の中で自分を制止するも、身体は言うことを聞かず、怯えきっている小宮山にむかって嘲笑う。
「……芽衣子ちゃんはオレに抱かれながら、さんざん言ってくれたけどね……?」
その瞬間、小宮山の目から涙が溢れ出す。
酷い……、震える声に胸が張り裂けそうに痛んだ。
本当、酷くて最低なやつだよ、オレは……
結局、小宮山を大切になんか出来ないんだって……
「そんなの、最初からわかってることじゃん……?」
そんでもいいって言ったのは誰だよ?、そう冷たく言い放つと、必死に声を押し殺して小宮山は涙を流した。
小宮山が泣くのは当たり前なのに、そんな小宮山の嗚咽すら聞きたくなくて、立ち上がると荷物の中から適当な服を取り出す。
英二くん……?、そう不安そうに小宮山が声をかけてきたけれど、その声に構わずにただ黙々と服を着て、財布と携帯をポケットに突っ込んだ。