第47章 【オレノコト】
「小宮山……オレのこと……好き?」
顔を上げてもう一度問いかけたオレに、不安げな顔の小宮山は、え……?、そう目を大きく見開いた。
オレと目が合うと、一気に頬を赤く染めて、慌てて視線を泳がせた。
『一度も好きって言ってくれなかったけどね……』
水島って女が香月に言ったあの言葉が蘇る。
オレの心に重くのしかかったのは、好きでもない小宮山を抱き続けた罪悪感。
それから、結局、オレが望み続けても決してかけられることはなかった言葉への苦痛と憧れ。
「だから、小宮山、オレのこと好き?」
「……そ、それは……」
返事が返ってこなくてもう一度問いかける。
戸惑う小宮山は目を泳がせた後、オレの視線から逃れようと顔を背けたから、逃さないようにグイッと両頬をおさえて、無理やり視線をあわせた。
「英二くん……知ってるじゃないですか……」
「だってオレ、小宮山から直接言われてないもん……」
オレノ、コト、スキ……?
「それは……そうですけど……」
「だから、言ってくれたっていいじゃん……」
ナンデ、イッテ、クンナイノサ……?
「だって……今更、言わなくても……」
「オレが言ってほしいっていってんの……!」
オレハタダ、オレノコト、スキダッテ、イッテホシイ、ダケナノニ……!!
ふーっとため息をつくと、身体を起こして小宮山のナカからオレ自身を引き抜いた。
くるりと背中を向けてゴムを外すと、あ、あの……、そう小宮山の不安げな声が聞こえてきた。
ヤッパリ、ケッキョク、イッテクレナイジャン……
チラッと視線を向けると小宮山は、今にも泣き出しそうな顔でオレを見ていて、目があった瞬間、英二くん……?、そう震える声でオレの名前を呼んだから、ズキンと胸が痛んで慌てて視線を逸らして俯いた。