第47章 【オレノコト】
「……そうなんですか?ふふ……」
シャワーを浴びて小宮山の部屋に戻ると、ドアの向こうから小宮山の笑い声が聞こえてくる。
……電話?
静かにドアを開けて中に入ると、あって小宮山がオレを見るから、別にかまわないよん?そう手でジェスチャーをして、それからベッドに横になる。
そんなオレに小宮山は少し申しわけなさそうに、ペコッと頭を下げた。
「あ、いいえ、大丈夫です……、え?そうですね……ふふふっ」
つーか、小宮山、誰と喋ってんだよ?
時々、家族と電話してっけど、そん時は敬語なんか使わねーし……
ってことは、相手は1人しかいねーか……
「ふふ、不二くんってば、またそう言う冗談ばっかり」
……やっぱ不二ね、そうチラッと視線を向けた小宮山は、楽しそうな笑顔で喋っていて、不二と小宮山のメールを見せて貰ったときも思ったけど、2人の親密さに、ふーん、そう胸のあたりに違和感を覚えた。
だいたい、不二、明日こそ大切な最終日じゃん、電話なんかしてないでさっさと寝ろって……
って、違うか、大切な最終日だからこそ、小宮山の声が聞きたいのか……、そう思って胸を押さえる。
「え?別にかまいませんけど……本当にそんなのでいいんですか?……えっと、それでは……必ず、勝ってくださいね?」
あー、うん、オレもそうだけど、不二はそう応援されると実力以上の力を発揮できるタイプだかんね。
「あ、それ、私も気になってました……そうなんですか?……だったら不二くんさえ良ければ一緒に……良かった……それではお願いします」
なに?デートの約束?2人でどこ行くってのさ?
ま、オレには関係ないけど……
つーか、小宮山から誘ってんじゃん、不二が仕向けたのかも知んないけど……
だからオレには関係ないけど!
胸のモヤモヤが大きくなっていく。
ガバッとタオルケットを頭から被ると、イヤフォン、持ってくればよかった、そう後悔しながら必死に耳をふさいだ。