第46章 【フタリノキョリ】
お店を出ると英二くんはプレゼントしあったマスコットチェーンを取り出して、自宅の鍵をパパッとそれに取り付ける。
それから、んって手を差し出してくれるから、付けてくれるのかな……?そう思って私のと自宅の鍵を手渡すと、彼は手早くそれを付けてくれた。
本当にネコ丸にそっくり、そうふふっと笑って英二くんから受け取ったマスコットチェーンに頬ずりをする。
「こんなに大きいと鍵の場所、すぐにわかりますね」
「うんにゃー、オレにぴったり」
すーぐどっかいっちゃうんだよね、そうニイッと笑う英二くんに胸のあたりがくすぐったくなる。
そっとそのマスコットチェーンに視線を向けると、大五郎と親子みたいなその様子に目を細めた。
「この子、小五郎って感じですね?」
「ププッ、何だよそれ、大五郎だから小五郎ー?」
じゃあこいつはー?、そう私のを指差して英二くんが聞いてくるから、えっと……チビ丸?そう首を傾げて答える。
「ほーんと、小宮山のネーミングセンスって安易ー!」
それじゃ、どっかのアニメじゃん?なんてお腹を抱えて大笑いする英二くんに、そんなに笑わなくても良いじゃないですか!そう頬を膨らませる。
確かにネコ丸も菊丸くんのネコでネコ丸だし、我ながら安易だと思ってますよ……?
ブツブツ文句を言う私に、いーじゃん?なんて英二くんは笑って、よろしくにゃ、小五郎♪そう言ってマスコットを指でちょんとつっついた。
そう言えば、英二くんって、三男なのにどうして「英二」なんだろう……?
ふとそんな疑問が頭をよぎり、首を傾げながら考え込む。
そんな私に、どったの?そう英二くんが問いかけるから、あ、えっと……、そう少し戸惑いながら、大したことじゃないんですけど、そう話し始める。
「ただ、英二くんって、三男なのに『英二』なんだなーって……」
そんな私の疑問に、英二くんはピクッと頬をひきつらせた気がして、ドキンと心臓に衝撃が走った。