第46章 【フタリノキョリ】
「……聞きたい?」
一瞬だけ英二くんの顔が曇った気がして、ドキッとしたけれど、すぐにその顔はいつもの笑顔に戻ったから、気のせい……?そう少しホッとして胸をなで下ろす。
聞きたいって言うか、本当にただ不思議に思って……、そう首を傾げる私に、話せば長い話になるよん?、そう英二くんは腕を組みながら少し声を潜める。
「小宮山は何でだと思うー?」
「え……?わからないです……」
「んー、しょうがないなぁ、んじゃ3択ね~?」
そう何故かクイズ形式になったこの状況に苦笑いするも、英二くんはそんな私に構わずに、指折り数えて選択肢を言い始める。
「いちー、第5子の名前なんてもう適当で、かーちゃんが好きな芸能人の名前をつけたー。
にー、とーちゃんの字が汚くて、本当は英三だったのに英二で出生届がだされちったー。
さーん、オレは本当は双子で、次男が英一、オレが英二って名前ー。
・・・さぁ、どーれだ!?」
どーれだ!?って、なんか、めちゃくちゃな理由ばっかりなんですけど……、内心そう苦笑いしながら、えっと……1番?なんて首を傾げる。
「ブッブー!!正解はー……4番の、母親から聞いてないからわかんないー、でしたー!」
……なんなんですか、そう苦笑いで英二くんをみると、だってオレ、名前の由来なんて聞いたことないもーん、なんて後頭部で腕を組んで笑う。
「小宮山の名前は、すげー小宮山らしいよねん?」
「璃音、ですか?」
父が付けてくれたんですよ?そう少しはにかみながら答えると、愛情たっぷり~って感じ、そう言って笑う英二くんの笑顔が、少し寂しそうに見えて不思議に思う。
英二くんの名前だって、きっと愛情たっぷりですよ?、そう首を傾げながら見上げると、それはどうかにゃー?、なんて苦笑いするから、だって凄く素敵なお母さんとお姉さんじゃないですか、そうあの時の2人を思い出してふふっと笑う。
そんな私に英二くんは、すげーのは確かだけどね、そうもう一度苦笑いをした。