第46章 【フタリノキョリ】
英二くんと商店街を手をつなぎながら歩いていると、ファンシーショップの前に差し掛かる。
あ、可愛い……
特に何かほしいって言うわけじゃないけれど、ショーウインドーから見える店内の可愛い雰囲気に心躍らせる。
でも今は英二くんと一緒だから駄目だよね……
そう自分に言い聞かせて素通りしようとすると、中、見てく?、そう英二くんが立ち止まってニイッと笑ったから、え?って驚いて英二くんを見上げる。
ずっと俯いて黙ったままだった英二くんが、いつもの笑顔で笑いかけてくれたことと、私が見たがっていることに気がついてくれたことが嬉しくて笑顔で大きく頷いた。
店内はファンシーショップっていうだけあって、アクセサリーやキャラクターグッズなんかのオシャレで可愛いものがいっぱいで、数人の若い女の子達が特有の高い声で盛り上がっている。
「見て見てー、小宮山、コレ、可愛いよー♪」
何となくイメージなんだけど、男の人ってこういうお店、居心地悪く感じそうなんだけど、英二くんに関してはそんなこと、全然ないみたい……
店内の商品を片っ端から手にとっては、私に見せながらはしゃぐその様子に、これじゃ、英二くんの方がお店に来たかったみたい、なんて思ってフフッと笑った。
一通り店内を見て回ると、ふとレジ横に並ぶマスコットのキーチェーンが目に留まる。
豊富な種類のそのマスコットチェーンは、よくある手の平サイズの3倍はある大きさで、もうマスコットって言うより、ぬいぐるみに近くて、あ、可愛い!なんて思いながらそれを眺める。
「なになに?、あ、小宮山、こう言うの好きそうー♪」
そう後ろから英二くんがおんぶするように飛びついてきて、私の肩越しにそれをのぞき込むから、耳元にかかる英二くんの吐息に胸がキュンとなって、2人きりじゃないこの状況での距離の近さに凄くドキドキした。