第46章 【フタリノキョリ】
「そういや、小宮山って好きな芸能人だれー?」
小宮山とこんな話したことなかったなー、なんて思いながら、そうチラッと視線を向けて問いかけると、小宮山は、んー……とちょっと考え込む。
「特にいませんよ……、歌もあまり聞かないですし……」
洋楽ならちょっと聞くこともありますけど……、そう少し困ったように笑う小宮山に、あー……そうかもね、なんて苦笑いで返事をする。
「小宮山、カラオケとか行かなそうだしねー……」
「……中学の頃なら何度か行ったことありますけど……」
そう苦笑いする小宮山に、ああ、あいつ等とね……、そう悪いこと聞いたかな?って少し申し訳なく思うと、気にしないでくださいね?なんて困った顔をした。
確かにオレだって、過去のこと知られて気を使われるの、好きじゃないしな……
そう思うんだけど、自分が逆の立場になると実際は難しくて、ん、って返事をする顔もぎこちないものになる。
ふとテレビがCMに切り替わり、チラッと視線を向けると、今までテレビにさほど関心を示していなかった小宮山が、そのCMをジッと見ているのに気がついた。
んー……?って思ってテレビ画面を見てみると、そこには今人気のイケメン俳優が映し出されていた。
「小宮山……、コイツ、好きなの?」
「え……!?、あ、そういう訳じゃないですけど……」
そう一気に頬を染める小宮山に、明らかに好きだろーって笑うと、好きって言うか……その……なんて言葉を詰まらせる。
「ただ、ちょっとだけ……英二くんに似てるかなって……」
なんて言って小宮山は恥ずかしそうに俯くから、そう言えば、前にも誰かに言われたことあったかもー?なんて思って、もう一度そのCMに視線を向ける。
「……コイツ、共演者キラーで有名だしね……」
「あっ!、いえ、決してそう言うところだけが似てるって言うわけではなく……」
慌ててフォローしようとしている小宮山に、はは、やっぱそう思ってんじゃん……なんて思って苦笑いをした。