第45章 【カミドメ】
「……小宮山、ゴム、枕の下にあるから……」
そう耳元で囁かれた英二くんの言葉は、一度迎えた例えようのない喜びの世界から現実へと私を一気に呼び戻す。
私がつけるの……?そうドキッとして問いかけると、だって小宮山に抱いてもらうんだもん、そう言って彼はまたニイッと笑った。
「……その設定、まだ生きてたんですか……?」
だいたい、いつの間にこんなところに忍ばせたんだろう?、そう苦笑いしながら、枕の下に手を滑り込ませると、手探りでゴムの袋を捜し当てて、恐る恐るその小袋を開封する。
でも開封したのはいいけれど、英二くんはいつも気がつかないうちに手際よくつけちゃうし、気がついたとしても恥ずかしくてマジマジと見たことなんてなかったから、それから先はどうしたらいいかわからなくて……
そもそも、究極の不器用な私が下手につけたら、ちゃんと機能を果たさないんじゃないの……?
困ってしまってチラッと英二くんに視線を送ると、そんな私の手元に彼の手が添えられて、こうすんの、そう言ってゆっくりと手を誘導してくれる。
へぇ、今更だけど、こんな構造になっているんだ……
思わず飛び出した知的探求心から、じっくりとその様子を見てしまい、そんなに面白い?そう英二くんの声で我に返り、あ、いえ、そういうわけじゃ……、なんて恥ずかしくて慌てて視線を逸らした。
「……小宮山、まだ?」
そっと英二くんが私の髪をすくい上げるように持ち上げる。
サラサラと彼の指の間を流れ落ちる髪に我に返り顔を上げると、英二くんは少しもどかしそうな顔をしていた。
えっと、私が抱くんだから、当然だけど私から……だよね?
そっと英二くんの膝の上に乗ってその首に腕を回すと、英二くん自身に手を添えて、そこにゆっくりと身体を沈めていった。