第45章 【カミドメ】
『だーかーらー、オレが抱いて貰うの、小宮山に!』
英二くんが言ったその言葉の意味を必死に何度も考える。
考えたところで答えは解っているんだけれど、だけどどうしても考えずにはいられなくて……
私が抱くって事は、つまり、その、そう言うことだよね……?
そんなの恥ずかしすぎてなかなか行動に出れない私に、ベッドに横になって目を閉じてしまった英二くんは、小宮山、まだぁ~?、そうしびれを切らしたように頬を膨らませる。
まだぁ~?って言われたって、本当に困るんですけどっ!
「あの、英二くん、私、筋肉痛で……」
「筋肉痛は筋肉使えば治りが速いって、前に乾が言ってたー」
「だったら、せめて夜、暗いときではダメですか……?」
英二くんが言い出したら聞かないことくらい、嫌と言うほど解ってはいたけれど、それでもやっぱりいくらカーテンを閉めてるとは言え、十分明るいこの状況で私からするなんて恥ずかしすぎて……
だったらせめて夜に部屋を真っ暗にして……と思ったんだけど、やっぱり英二くんにそんなお願いを聞いてもらえるはずもなくて……
「やだよん、オレ、今、抱いてもらいたいんだもん!」
案の定、あっさりと却下されてしまった私のお願いに、ふうーっと深い諦めのため息をついた。
えっとまずは……、英二くんが私にしてくれる事をひとつひとつ思い出す。
ゆっくり英二くんの上に覆い被さると、そっと頬に触れて、それからその外ハネの髪を撫でる。
心臓はまるで爆発してしまうんじゃないかというほどバクバクしてて、手は指先まで小刻みに震えてしまう。
英二くんにしてもらうときもドキドキするけれど、今はそれ以上に緊張しちゃって、恥ずかしくて今すぐ逃げ出したい衝動を必死にこらえる。
だけど私の次の動きをワクワクしながら待っている英二くんのその様子は可愛くて、凄く愛おしくて、彼に寄り添いたいのも素直な気持ちで……
その少し開けて私を待っている唇にキスしようとしたその瞬間、今まで閉じていた英二くんの大きな目がパチリと開いて、すぐ近くで思いっきり目があった。