第45章 【カミドメ】
あー……確かに不二の好みかもね……
そう聞いた途端、なんか胸の辺りがもやっとして、さっきまで小宮山に似合っていていいなって思っていた髪留めは、なんでか分かんないけれど急に色あせて見えた。
ふーん……そう気のない返事をしながら、もう一度その髪留めに手を伸ばすと、それをパチンと外してテーブルの上に置く。
その途端、小宮山のさらさらの髪がオレの頬にかかり、フワッと一気に広がる甘い香りが鼻の奥を刺激した。
「もしかして、不二からのプレゼントだったりして?」
「え……?あ、いいえ、自分で……不二くんは出すよって言ってくれたんですけど……」
くれるって言うんだから買って貰えば良かったのに……
ま、そんな所が小宮山らしいけどね……
そう思いながら不二と小宮山が2人で楽しそうにコレを選ぶ様子を想像すると、ますます胸の辺りがもやっとした。
ガバッと小宮山の肩を掴んで引き離すと、身体を起こして立ち上がり、部屋の窓とカーテンをシャーッと勢いよく閉める。
エアコンのスイッチを入れるオレに、英二くん……?、そう小宮山が戸惑いながら声をかけるから、クルッと振り向いてニイッと笑顔を作る。
「小宮山、オレのこと抱いてよ?」
本当はそんなつもりなかったんだけど、なんか急に小宮山とヤりたくなって、しかも普通にヤるんじゃなくて、小宮山にリードして貰いたくなって……
そんな突然のオレの誘いに驚いた様子で座り込んでいる小宮山の両手を引っ張ると、速くっ、速くっ♪そうわざとはしゃいでベッドの上へと移動する。
「え……、あの、抱いてよって……?」
「だーかーらー、オレが抱いて貰うの、小宮山に!」
優しくしてね?、なんて言ってウインクすると、1人ベッドに仰向けになる。
そんなオレの様子に小宮山がすげー困ってるのはわかったけど、それに気がつかない振りをして目を閉じた。