第45章 【カミドメ】
英二くん、まだ寝てるのかな……?
簡単に掃除を済ませて洗濯も干しおわっても英二くんはまだ起きてこなくて、昨日、私の為に夜更かしさせちゃったからかな?そう申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そっと寝室を覗くとやっぱりまだ英二くんは眠っていて、その寝顔を見ているとまた幸せな気持ちになって、しばしその可愛い顔を堪能させてもらう。
はぁ、こんなに英二くんを独り占め出来るなんて、凄い贅沢……
そっと起こさないようにその髪に触れると、その瞬間、英二くんの目がパチリと開いて、ぼーっと私の顔を見る。
あ、起こしちゃった、そう申し訳なく思いながらも、おはよう……ござい、ます、なんてドキドキしながら挨拶する。
「……ねーちゃ……?……違う……かー……あー……小宮山……?」
「はい、小宮山です」
ブツブツ呟きながら身体を起こした英二くんはまだボーッとしていて、それから私の顔をじーっと見つめくるから、あ、あの……そう恥ずかしくて視線を泳がせる。
すると今度は、んー……っとゆっくり部屋の様子を見回し始めて、それからハッとした顔をして私に視線を戻した。
「小宮山、なんでオレんちいんのさ!?」
えっと、ここ、私の家ですから……、そうまだ寝ぼけている様子の英二くんに、朝は弱いのね、なんて思って苦笑いした。
「あー……そうだ……小宮山んち……うん……」
そう癖毛のままの、余計なところまで跳ねている髪を微笑ましく眺めながら、そう言えば英二くん、前に屋上で寝てたときも最初寝ぼけていたもんね、なんてあの日のことを思い出す。
ふわあーっと大きなあくびを一つして、小宮山、おはよ♪、そうニイッと笑う英二くんに、今日3度目の「おはようございます」を言うと、グイッと引き寄せられてチュッとキスをしてくれた。
屋上では押し戻されてしまったけれど、今日はちゃんとしてくれたことが嬉しくて、それからこうして「おはよう」や「おやすみ」が言えることに幸せを感じた。