• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第44章 【ヨフケノケツイ】




「小宮山、うなされてたよん……?」

「……あ、あぁ……は、い……」


常夜灯にぼんやりと浮かぶ英二くんの心配そうな顔に、だんだん頭が働いてくる。
そうだ……夢、アレは夢だ……
バクバクする胸をおさえ、そっと自分の髪に触れていつもと同じ手触りを確かめる。


まだ暗い……、時計を確認するとまだ真夜中で、すみません、起こしていまいましたね……、そう申し訳なくて謝ると、英二くんは私をギュッと抱きしめてくれた。


「小宮山、ほんと、気にしすぎ、オレ、もともとこのために来たんじゃん?」


そう優しく囁いてくれる英二くんの胸に頬を寄せると、ドクンドクンと大きく脈を打っていた動悸が、少しずつ落ち着いていくのが感じられた。


怖い夢、見た……?、なんて心配そうに覗き込む英二くんに、はい……そう頷いてすーっと大きく息をすう。


あったかい……、お母さんの腕の中みたい……


あの頃、何度もこうやって抱きしめてくれたお母さんの暖かさを思い出す。
起こしてくれてありがとうございます、そうお礼を言って、心配をかけないように笑顔を作った。


作った笑顔とは裏腹に、まだ震えている身体を自覚する。
本当に起こしてもらえて良かった……
夢の中のナオちゃんと香月くんを思い出すと頬を涙が伝い、そっと自分の髪に触れて、本当に切られてないことをもう一度確認する。


一応、和解したって、身体と心に染み着いた恐怖は、そう簡単に消えてなくならない……


「小宮山、なんか飲む……?」


その英二くんの言葉にハッとして、あ、私が……そう身体を起こすと、今更だけどまだ自分が行為のあとの、産まれたままの姿なのに気がついて、慌ててタオルケットに身を隠す。


そんな私に、いいよ、小宮山、身体きついじゃん?そう英二くんはニイッと笑い、パジャマを羽織って立ち上がるから、思わずその裾を握りしめる。


少し驚いた顔で振り返った英二くんは、すぐ戻るよん?、そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。

/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp