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【テニプリ】闇菊【R18】

第44章 【ヨフケノケツイ】




「何言ってるの……璃音はいつだって璃音じゃない、ちゃんと見てみなさいよ?」


そうナオちゃんが私の制服を指差す……
え……?、そう思って自分の制服に視線を向ける……


!!


そこにはさっきまでなかった卵とトマトの沢山のシミ……
ハッとして視線を向けた先にはゴミと落書きだらけの机……
ビリビリに破かれた教科書とノート……


ドクン____
大きく心臓が嫌な脈を打つ……


「ね、いつもと同じでしょ……?」


恐る恐る顔を上げる……
ナオちゃんの歪んだ笑顔……クスクスと笑う友達の笑い声……


そうだ……いつもと……同じ……


ドクン、ドクン……
嫌な鼓動が大きくなっていく……


「いつだって、璃音は私のおもちゃ、昔も今も、そしてこれからも……」


さ、遊びましょ……?、動かない身体にナオちゃんの手が伸びる……


いや……やめて……
助けて……香月くん……


気がつくと私を抱きしめていた香月くんはナオちゃんの隣に立っていた……
私を見るその目にまたズキンと胸を痛ませる……


ああ……この目……そうだ……
誰も助けてなんてくれない……
誰にも私の声なんか届かない……


何も出来ない私の髪にハサミが入る……
ジョキン……ジョキン……
呆然と足元に散らばっていく髪の毛をながめる……


「璃音……」

「小宮山さん……」


2人が私の名前を呼ぶ……
大好きだった2人が……
歪んだ笑顔と憐れむような目……


いや……


「……!」


いや……やめて……


「……小宮山!」


やめて……やめてったら……!!!


「小宮山ってば!!」


ハッとして目が覚める。
バクバクする心臓と全身にまとわりつく汗……


「小宮山、大丈夫……?」


え、いじ……くん?、そう呆然とする私を英二くんは心配そうに覗き込んでいた。

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