• テキストサイズ

【テニプリ】闇菊【R18】

第44章 【ヨフケノケツイ】




『よく恥ずかしくもなく、そんなセリフが言えるね?』

「うるさいなっ!恥ずかしいよっ!!」


不二に笑われて、改めて自分の言ったセリフに照れくさくなる。
だいたい、不二の方が恥ずかしいセリフ、よく言ってんじゃん!、そう言って頬を膨らませる。


そんなオレに不二は、そのセリフ、小宮山さんに言ってあげたの?、そう意味深に笑って言うから、あー……って言葉を濁したあと、言ってない、そう罰悪く呟いた。


「……言わないし、これからも言うつもりない……」

『どうして?僕より先に小宮山さんに言うべきじゃないの?』


だってさ、別に小宮山のこと、好きって訳じゃないしさ……、そう小宮山は寝ているのは分かっているんだけど、それでも聞こえないように小さい声でボソッと呟く。


『……あの人たちにあんなに怒ってたのに?』

「それはそうだけどさ……」


昼間、あいつ等に死ぬほど腹立ったし、オレの腕の中で震える小宮山を大切にしたいって本気で思ったし、それは今でも変わらないけれど……


だけど、自分でも小宮山に対するこの気持ちがなんなのかは、いまだにはっきりとわかんなくて……


歯切れの悪い返事をして黙り込んだオレに、それって好きだからじゃないの?、なんて不二が言うから、言うと思った、そうため息をつく。


この気持ちは好きって言うより、どっちかって言うと、かーちゃんや、ねーちゃん達に対する気持ちとおんなじって言うか……


いや、だからって、家族に欲情したりはしないんだけどさ……


以前、小宮山を大切にしようと思ったときは、このアルバムをみて同情し、そして生まれた罪悪感からだった。
今回だってそれとおんなじだって……
付け足すとしたら、共感……?


あいつ等の前で小さくなって震える小宮山が、昔のオレを見ているようで……
それから、小宮山を苛めるあいつ等が、まるでオレの前に立ちふさがるあの女のようで……


それでいて、小宮山を泣かせてばかりいるオレがあの女のように思えて、自分自身が許せなかった……

/ 1433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp