第44章 【ヨフケノケツイ】
『やあ、英二、そろそろかかってくる頃だと思っていたよ?』
数回のコール音のあと、電話の向こう側で相変わらず余裕そうな声を上げる不二に、はは、相思相愛?そう言って首をすくめる。
そんなオレに、英二となんてお断りだよ、そう不二はフフッと笑い、それから、僕と電話なんかしてていいの?待ってるんじゃない?そう少し低い声で呟いた。
「あー……、大丈夫……、小宮山、今、寝てるから……」
『へー、あのまま小宮山さんと一緒だったんだ?』
僕は大五郎が待ってるんじゃないのかきいたのに、そう言ってクスクス笑う不二に、……まーたやられた、そう苦笑いしながら、もうそういうのやめろって、なんて言って首をすくめる。
『また無理させたんじゃないの?』
「させてないって……多分」
「ああ、もうやめて、英二くんっ、私、もう無理っ!お願いっ、これ以上はダメっだったら!……あああぁぁっ!!」
そう何度もイかせて、最後は叫びながら意識を手放した小宮山の姿を思いだし、アレはこの場合の無理とは違うはず、そう思いながら苦笑いした。
『それで、何の用事なの?』
「あー……うん……」
あのさ……、そう自分から電話したくせに、なんて切り出して良いかわからず言葉を濁す。
ちらっとベッドに視線を向けて、タオルケットにくるまって穏やかな寝息をたてる小宮山を見つめ、それからあー、もう!そう頭をワシャワシャとかき乱す。
サラッと言っちゃえばいいじゃん?、そう思うんだけど、不二の気持ちを思うとなかなか言えなくて、そんなオレに、小宮山さんのことだろ?、そう不二はクスクス笑いながら言った。
『相変わらず肝心な時は慎重派だね』
「うるさいっての!」
……まあ、いいや、これで切り出しやすくなったし。
そう思いながら、もう一度大きく息を吸うと、あのさ、そう意を決して話し始めた。