第43章 【シルシノイミ】
「……まぁいいや、んじゃ、オレ、小宮山の部屋に荷物取りに行くから」
「あ、あの……」
なんか言い掛けている小宮山の話を聞く気にもなんなくて、何、小宮山がそうしろって言ったんじゃん?そう少し低い声で言うと、小宮山はビクッと怯えた顔をして黙り込む。
そんな小宮山に構わずにリビングを出ると、小宮山の部屋に入ってそのままベッドへと横になった。
やっぱオレ、小宮山を振り回してばっかじゃん……、そう、薄暗い天井を眺めながらため息をつく。
相変わらず小難しそうな本が沢山並んでいる本棚に視線をむけると、例の卒業アルバムがまだそこにあって、今日の小宮山の怯えた泣き顔を思い出してズキンと胸が痛んだ。
だから、オレが泣かせちゃダメなんだって!
急いで起き上がって小宮山を迎えに行こうと立ち上がると、ガチャリとノブを捻って勢いよくドアを開ける。
すると、目の前に涙目の小宮山が立っていて、オレが開けたドアに驚いて肩を跳ねさせた。
あ、あの……、そう小宮山が恐る恐る声を振り絞る。
「入っても……いいですか……?」
「当たり前じゃん、ここ、小宮山の部屋だよん?」
そうオレがニイッと笑うと、小宮山は少し安心した顔をしたから、その身体をギュッと抱きしめた。
「あの、やっぱり、ここで一緒に……」
「わかってるって、意地悪言ってゴメンな……?」
部屋に戻ってベッドに腰を下ろすと、後に続いた小宮山は少し戸惑ってから窓辺の方に腰を下ろす。
ふーん……、やっぱ、離れて座んのね、そう苦笑いして小宮山の顔をジッと見ると、そんなオレの視線に恥ずかしそうに俯いて、それからそっと窓の外の空を見上げた。
「こっち、座れば……?」
そうベッドの縁に座って問いかけると、あ……、はい、そう小宮山は少し遠慮しながら、一人分距離をとって腰を下ろす。
「そこじゃなくてさ、ここ」
そう太股をポンポンと叩いてニイッと笑うと、小宮山は真っ赤な顔で俯いて、オレの膝の上に控えめに腰を下ろした。