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【テニプリ】闇菊【R18】

第43章 【シルシノイミ】




「じゃあさ、付け合わせの粉ふきいも、塩ふって仕上げてよ?」

「……お塩ってこれくらいですか……?」

「小宮山……その山盛りのスプーン、塩じゃなくて砂糖だから……」


結局、私がしたことはレタスをちぎっただけだったけど、英二くんと一緒にキッチンに立ってお料理をして、馬鹿にされても楽しくて……


「高校は家庭科選択制だからいいけどさ、中学ん時はどうしてたのさ?」

「調理実習は洗い物を担当して誤魔化しましたし、裁縫は先生が努力を評価してくれました」


結婚したら苦労するよん?、なんて英二くんが意地悪く笑うから、いいんです、私はお料理上手な家庭的な人か、私の作る独創的な味付けでも、美味しいって食べてくれる心優しい人と結婚しますから、そう言って頬を膨らませた。


「はは、オレなんかどうー?料理得意だよん?」


そう英二くんがサラッと笑顔で爆弾発言をしてくるから、ドキンと大きく心臓が跳ねて、かあーっと自分でも分かるくらい、一気に顔が熱くなる。


バカ!こんなの、その場のノリで言っている軽い冗談じゃない……!
そう思うんだけど、分かってはいるんだけど……


ドキドキして心臓が破裂してしまいそうで、思わず何も言えずに俯いてしまうと、そんな私の様子に気がついた英二くんが、あって顔をして、それから、あー……って口ごもる。


「……不二、なんか、オススメだよん……?酸っぱいもの以外なら、なんでも美味しいって食べるから、さ……」


そう目を伏せて言う英二くんの言葉に、いいですね……、そう顔を上げて笑顔を作る。
不二くんなら、絶対、大切にしてくれますし、今度、頼んでみます、なんて言ってオムレツをひとくち、口に運ぶ。


そりゃ、英二くんにとっては私に勘違いされたら面倒だもんね……
でもだからって、そんな気まずそうに他の人を薦めてこなくてもいいじゃない……


英二くんの気まずそうな顔に胸が痛んで、ギュッとスプーンを強く握りしめた。

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