第43章 【シルシノイミ】
ハァ……ハァ……、そうお互いの荒い息づかい間近で感じながら、ただお互いの身体を抱きしめ、それから何度もキスを交わす。
舌を絡めながらキスをして、唇が離れてもまたすぐに舌を絡ませて、それからまたキスをしてチュッと可愛くリップ音を響かせる。
英二くん、好き、本当に大好き……、そう、声に出来ない想いを何度も心の中で繰り返す。
『一度も好きって言ってくれなかったけどね……』
ふと頭に蘇るナオちゃんが一瞬見せた寂しそうな顔。
もしかして、ナオちゃんも私と同じ想いをしていたのかな……?
そんな風に思ったら言いようのない胸の痛みを感じて、慌てて英二くんのシャツを握り締めた。
「小宮山……痛かった?」
事後の処理を済ませた英二くんが、私を引き寄せてまた後頭部を撫でてくれるから、そっとその胸に頬を埋めて首を横に振る。
大丈夫です……でも、どうして……?、そう不思議に思って問いかけると、今までゴメンな……?、なんて英二くんはまた謝ってくれた。
「えっと……もう何度も謝ってもらいましたよ……?」
「違くてさ、痛かったよな、身体……」
いつも固いとこばっかでさ、そう言って英二くんは申しわけなさそうに私の顔をのぞき込むから、私のことを思いやってくれるのはわかるんだけど、でも、どうして……?そう逆に戸惑ってしまう。
「そうですけど……私にとってはそれが普通ですから……」
だって、私、英二くんしか知らないから……
英二くんと学校で場所を選ばずにすることしか知らないから……
一度だけ、私のベッドでしたことはあったけど、そちらの方が私にとってはイレギュラーで、普通は固い所でアチコチぶつけながらの行為が当たり前で……
だから、そんな風に英二くんに謝られてしまうと、どうしたらよいかわからなくなってしまう。
そんな私に英二くんは困った顔をして、コレからはちゃんと小宮山が痛くないようにするからさ、そう言って優しく抱きしめてくれた。