第43章 【シルシノイミ】
「あ、アッ、英二くん、私……、もうっ……」
ソファーに横に寝かされて、私を見下ろす英二くんを見上げながら、直前にまで迫ってきている快楽の果ての瞬間を待ち望む。
イキたい……?、そうわかっている癖に聞いてくる英二くんに、相変わらずイジワル、そう思ってその着崩したシャツに頬を埋めた。
ううん、イジワルじゃない、今日の英二くん、凄く優しい……
英二くんが何度も髪を撫でてくれるから、沢山抱きしめてくれるから、優しく囁いてくれるから……
乾いた大地に雨が染み込んで行くように、不安な闇夜を照らす月明かりのように、極寒の地で凍える身体を温める焚き火のように、私の心が一気に満たされていく……
ずっと寂しくて、苦しくて、悲しくて……
その分、また触れ合えたその温もりの喜びは計り知れなくて……
本能から流れる涙とは別の、幸せと喜びの涙が次から次と溢れてくる。
「あ、ああっ!も、ダメッ!イヤッ、英二くんっ、もうイヤァッ!!」
その瞬間を迎えるべく身体をそらせて英二くんにしがみつく。
ふとそんな私をニヤリと笑いながら見下ろす英二くんと目があって、やあっ!、と恥ずかしさから慌てて顔を両手で覆った。
「ダーメ、イクときの顔、ちゃんと見せてくんなきゃ」
久しぶりに見たい、小宮山のイキ顔、そう言って私の手を取ってしっかりと指を絡める英二くんに、やっぱりイジワル、そう思って首を横に振る。
そんな私に英二くんは構わずに、よりピンポイントで私のナカのイイトコロを攻め立てた。
「ああっ、英二くんっ!、ハァッ、ンンッ、アァァァ!!」
英二くんと絡ませた指をギュッと握りしめると、そのまま息が出来なくなって身体が硬直してしまう。
限界まで上り詰めて弾け飛んだ快感が、はあーっと大きな吐息と共に解放される。
「小宮山っ……!」
すぐさま切なそうに私の名前を呼んだ英二くんが私の上に覆い重なって、それから2人の乱れる呼吸も重なり合った。