第42章 【イエジ】
小宮山を抱きしめてその髪をなでると、嬉しそうに笑うその笑顔に罪悪感を感じながら、あいつ等に殴られて赤くなった頬をそっと撫でると、くすぐったそうに首をすくめるから、そっとその頬にキスをする。
涙が溢れ出した瞼にまた唇を寄せて、それから止まらない涙を何度も優しく拭いてやると、相変わらずなんも悪くない癖に、小宮山はごめんなさい……そう謝る。
今まで、散々その「ごめんなさい」に苛ついていた感情はもうどこにもなくて、ただあるのはそんな小宮山を大切にしたいと思う気持ちだけだった。
ああ、そうだよ……、オレ、あんな風になるまでは、小宮山のこと大切にするって思ってたんじゃん……
そう思い出してまたその身体を抱きしめると、なかなか消えなかった小宮山に対する嫌悪感が、すっかり消えて無くなったことに安堵の笑みが漏れる。
大石につかみかかってからずっと夢中で、張りつめていたその緊張の糸が切れると、途端に抱きしめている小宮山の柔らかい身体が気になりだして、何度目かのキスでこれ以上はやべーって、そうその手を緩める。
流石にここじゃ、小宮山に悪いもんな……
散々、場所なんか考えずにヤりまくっていたけれど、オレの腕の中で幸せそうな顔をする癖に、ずっと身体は震え続けている小宮山の精神的ショックが大きいのは明らかで……
そんな中、さっきまで怖い目に遭っていたこの場所で、流石にこのまま行為になだれ込もうとは思わなくて……
つーか、こんな時くらい、少しは大人しくしてろよな……
そうさっきから期待し始めているオレ自身に苦笑いしながら、小宮山の肩にもたれかかると、流石に呆れられるかな……?、そう不思議そうな顔をしている小宮山の顔をのぞき込んで頬を指でかいた。