第41章 【エガオノオク】
いつ英二がテニス部に戻って来ても良いように、先輩方にお願いして英二のロッカーを僕と乾の間に用意してもらった。
だけど結局、英二はテニス部に戻ってこないまま、一年が過ぎて2年生になった。
桃や海堂達が入部してきても、英二は相変わらずテニスが出来ないままだったし、夜遊びや女遊びも相変わらずだった。
そんなある日、生徒会の仕事が入り、部活を抜け出して生徒会室を訪れた。
仕事が一段落ついた時には、もう校内に残っている生徒は殆どいなくて、シンとした廊下に英二の声が漏れていた。
……英二がこの時間まで残っているなんて珍しいな、そう思ってその声が聞こえる英二の教室にむかうと、だんだんはっきりと聞こえてきた内容は女の子との夜の約束だった。
全く、不用心だな……そう思って教室を覗くと、英二の前に座る女生徒の姿を確認して目を見開いた。
……小宮山さん?そう信じられない思いで何度も確認したけれど、それはやっぱり小宮山さんだった。
小宮山さんとは直接話したことはなかったけど、学年首席で委員会活動もよく参加している彼女の存在は当然知っていた。
……どうして英二と小宮山さんが?
そう廊下から信じられない思いで眺めたけれど、彼女のその首もとに付けられたばかりのうっ血痕と、本性を隠してない英二を見ればその理由は一目瞭然で、最近の彼女のイメージチェンジはそう言うわけか……そうため息をついた。
それにしてもどうして小宮山さんが?って思って、学校の子には手を出さない主義の英二がどうして?って思って、2人に声をかけたら焦った英二は小宮山さんがビッチだって言い張った。
そんなはずないだろうと思って、英二を問いつめたら、そうですよ?って認めた小宮山さんにキスされた。
ふわりと鼻に広がる甘い香りと、その柔らかい感触に驚いて目を見開いて、普段と全く違うその妖艶な笑みの彼女に戸惑った。