第40章 【ウデノナカノヌクモリ】
「でも予想外に不登校になっちゃって、そのまま違う高校いっちゃうんだもん」
大学部卒業までずーっと遊んであげるつもりだったのに!、そう続ける中心人物の言葉に、小宮山の肩が小刻みに震えだす。
やっぱ聞かせない方が良かったな……そう後悔して不二に視線をむけると、不二もつらそうな顔をする。
マジでひでーやつらだ、そう桃と海堂が舌打ちをする。
「……小宮山に謝れよ?」
今、小宮山が腕の中にいなかったら、女とはいえ間違いなく殴りかかってんな、そう思いながら、怒りのあまり震える拳でそう出来るだけ静かに要求する。
「なんで謝らなきゃ……」
「小宮山に謝れよ!!」
全然悪びれずまだ笑い続けているそいつ等を、今度は声を荒げて怒鳴りつけた。
「……謝ることになるのは、あんた達の方よ……?」
オレの怒鳴り声の後、シーンと静まり返った次の瞬間、そう静かに中心にいる女がそう呟く。
……何、言ってんだよ?、そう不思議に思って言葉にしようとしたその時、その女が自分のブラウスのボタンを胸元まで手早く外してニヤリと笑う。
「いやぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
みんなが驚いて目を見開く中、誰か、誰か助けて!!、そう叫びながらオレ達の隙をついて駆け出すと、通路のドアを勢いよく開けてロビーへと飛び出していった。
「しまった!」
そう不二が真っ先に我に返り声を上げる。
あの時と……同じ……、そう小宮山がオレの腕の中で震える声を上げる。
他の残った女達もいつの間にか各々の服を着崩して、その場に座り込み怯えた演技をしている。
「おい海堂、コレ、オレらやばくないか!?」
「うるせぇ!んなこた分かってる!!」
あの時と同じ、そう震える声で呟いた小宮山をギュッと抱きしめる。
ああ、こうやって小宮山にハッキングの罪を擦り付けたんだな、そう思って胸を痛める。
こんな状況じゃ、小宮山、パニックになって言い返せるはずないよな……
大丈夫、大丈夫だって、そう呟きながら小宮山の髪を何度も撫でた。