第40章 【ウデノナカノヌクモリ】
「ふーん、またすっかり男達を手玉に取ったってわけね?」
璃音なんか顔だけじゃない、ああ、あと身体?そう言って小宮山をバカにするそいつ等に、やっぱ最初の理由はそんなところか、そう呆れながらため息をつく。
人それぞれですよ……、そう以前、寂しそうに言った小宮山。
目立たないよう必死に隠していた理由に改めて納得する。
「テメーらよりずっとイイ女だよ」
「ああ、足元にも及ばないね」
オレのその意見に不二だけじゃなく、他のみんなも、そうだそうだ!と同意する。
それから、おまえ等、こんな事して楽しいのかよ?そう低い声で言いながら、その女達をまた睨みつけた。
『……小宮山さんって、なんであんなに人を拒むのかなぁ……?』
以前、体育祭の打ち上げで市川がオレに問いかけた言葉を思いだす。
ただでさえ人付き合いが得意じゃない小宮山が、なおさら人に壁をつくって、必要以上に拒む理由はコイツ等が原因に違いなくて、そのせいできっと学校にもいられなくなって……
「おまえ等、人を陥れて傷つけて、そんで人生狂わせるような事して、そんなことして本当に面白いのかよ!?」
そう睨みつけるオレに、一瞬、怯んだように見えたそいつらだけど、すぐにまた笑顔になって、それから、陥れたってハッキングのこと?そう楽しそうにクスクス笑った。
その瞬間、小宮山がまたビクッと身体を振るわせて、オレの背中に回した腕にギュッと力を込める。
その女達を睨みつけたまま、小宮山をまたしっかりと抱きしめ返す。
そんな怯える小宮山の様子を眺めながら、楽しいに決まってるじゃない、そう女達は大笑いした。
「ハッキングもイジメも、全部私がやったことなのに、璃音、バカみたいに私のこと信じてて、他の生徒も先生もみんな私の演技にコロッと騙されて」
ほーんとみんなバカばっかり、そう言って高らかに笑うその女達のその様子に、コイツ等の中でたった1人で苦しんでいた小宮山の気持ちを思うと、胸が痛んで息苦しくなった。