第40章 【ウデノナカノヌクモリ】
「桃、海堂、悪いんだけどさ、小宮山をちょっと向こうに連れてってくんない?」
これ以上は小宮山、キツイもんな……
もうこれ以上、こいつらの側にいさせないほうが良いだろうと、2人を呼んで小宮山を託そうとすると、小宮山はハッとした顔をして、それからギュッとオレをつかむ手に力を込める。
「……大丈夫だって、コイツ等と話つけたら、すぐに小宮山んとこ行くからさ……」
そうオレから離れることに不安そうな顔をする小宮山を、出来るだけ安心させるように髪を撫でながら囁くと、身体の向きを変えてその身体をしっかりと抱きしめる。
だけどオレの胸に顔を埋めて首を横に振り、その手の力を弱めようとしない小宮山のその様子に、不二と顔を見合わせる。
「小宮山さん、ここにいると、辛い話を聞かせることになるよ……?」
それでも英二の側にいたい……?、そう不二が小宮山に確認すると、チラッと視線だけ不二にむけた小宮山は黙って小さく頷いた。
少し寂しそうな笑顔を見せる不二の気持ちを思うと、胸が痛んでそっと目を伏せる。
そんなオレに、いいんだよ、そう言って不二はクスッと笑う。
「それより、小宮山さんをしっかり抱きしめてあげなよ」
「あ、ああ……」
胸に引っかかる思いを残しながらも、オレの腕の中で涙を流す小宮山を見ながら、なんでオレ、今まであんなに酷い態度とってたんだよ……そうまた後悔する。
もう一度、小宮山の髪をなでながら、今までごめんな、そう小さく謝ると、小宮山はまた首を横に振って、それから頼りない笑顔を見せた。