第39章 【セフレトモトカレ】
学校全体から……?
先生すら見て見ぬ振りって、どんだけ酷い学校なんだよ!?
いくら頭良くたって、人間としてグズばっかじゃんか!
……なんて、オレは人のこと言えないけどさ……
自分がさんざん小宮山にしてたことを思い出し、また胸が苦しくなって慌ててギュッと握りしめる。
「香月くん、一つ聞いていいかな?小宮山さんが辛い目にあっていたその時、生徒会長としてイジメをなんとかしようとは思わなかったのかな?」
そう厳しい顔をした不二が香月に問いかけると、香月はいっそう辛そうに眉を下げて、僕はもっと罪深いよ……そう呟いた。
「僕は二度も彼女のすがるような視線をないものにした……一度はハッキングの件で先生に連れて行かれるとき……」
それから……、そう一端、言葉を詰まらせた香月は唇を振るわせて、意を決したようにすーっと大きく息を吸いこんだ。
「全身を殴打され、長かった髪の毛もズタズタに切られて、ずぶ濡れになりながら歩く彼女が、他の生徒達の中に僕を見つけたあのとき……僕は小宮山さんと付き合っていたのに……」
こいつが小宮山と付き合っていた……?
だって小宮山、処女だったじゃん?って思って、でもヤんなきゃそれまでかって思って、それから、こいつが小宮山の元彼かって思うとなおさら腹が立ってしかたがなかった。
「なんで、なんでお前、小宮山のこと守ってやんなかったんだよ!?」
小宮山の彼氏だったんだろ!?そう香月に掴みかかろうとするオレを、英二!暴力はダメだ!そうみんなが止めに入る。
それはわかってっけどさ、だけど、こんな時に冷静になんかなれっこねーって、そう大石やタカさんに抱えられながら大声を張り上げる。
「英二!香月くんだって辛かったんだ、小宮山さんが過ちを犯して……」
「だから小宮山はんなことしないって言ってんじゃん!」
たとえ大石の友達だとしても、どうしてもこいつのことが許せなくて、うなだれる香月をもう一度睨みつけた。