第39章 【セフレトモトカレ】
「キミたち、小宮山さんと知り合いなのか……?」
そう沈黙を破って香月が口を開いたから、同級生だよ、英二は彼女のクラスメイトなんだ、そう言って不二が答える。
不二先輩と小宮山先輩はつきあってるんすよ、そう桃が横から口を挟み、それはただの噂だよ、そう不二がそれをきっぱりと否定した。
「そうか、大石くんの友達と知り合いって事は……彼女、今は青学に通っているのか……」
そう呟く香月の顔は少し寂しそうな、複雑そうな顔をしていて、それから、小宮山さんがハッキングしたのは事実だよ、そうポツリと呟いた。
「なんでんなこと言うのさ!?小宮山がやったって証拠があんのかよ!?」
またカッとしてそう香月に声を荒げると、彼女が認めたんだ、そうはっきりと香月は答えた。
「何だよそれ!?小宮山が自分がやったって言ったのを聞いたのかよ!?」
「それは……でも彼女の親友には打ち明けたそうだし、小宮山さんも否定しなかったよ」
そう感情的になるオレとは対象的に、どこまでも冷静な態度の香月に余計イライラして、なんだよ、それ?そう声を荒げ、もう一度、不二と大石になだめられる。
「さっき小宮山さんと一緒にいた子達は彼女の友達で、特に親友の水島ナオさんは、いつも彼女に寄り添って小宮山さんの支えになっていたよ……」
小宮山の支え……?そう意味が分からず訝しげに見るオレに、香月は少し辛そうな顔をして、ハッキングの件で小宮山さんは酷いイジメに遭っていたんだ、そう言って目を伏せた。
「酷いイジメ……?」
「ああ、学校全体から……、先生方すらも全員が見て見ぬ振りをしていたよ……」
みんなが一斉に息をのむ中、小宮山の部屋で見た黒塗りの卒業アルバムを思いだす。
下唇を噛んで拳を強く握りしめた。