第39章 【セフレトモトカレ】
「英二、なに見てるんだ……?ってあれ、水島さんたちじゃないか!」
香月くんの出迎えに来たんじゃないか?そう大石が香月に声をかける。
あれ、でも1人知らない子がいるなぁ……なんて大石が言ったと同時に、小宮山さん……!そう香月が目を見開きながら驚いた声を上げた。
その名前にみんなが驚いて香月の視線の先に顔をむけたから、このままじゃ小宮山と顔を合わせる羽目になんじゃん、そう思って眉間にしわを寄せる。
「小宮山さんって……もしかして、試験問題をハッキングしたっていう、あの……?」
みんなが小宮山の存在を確認し、小宮山さんだ、そう声をあげるより先に、大石がちょっと言いにくそうにそんなことを言い出したから、今度はオレたちみんなが目を見開いて大石の顔を見つめる。
……小宮山が試験問題をハッキングだって……?
「大石、何、言ってんだよ!?小宮山がんなことするはずないじゃん!!」
気がついたらみんなの前にも関わらず、そう声を荒げて大石の胸ぐらに掴みかかっていた。
全く状況が飲み込めていない大石は、英二……?そうオレのその豹変した様子に戸惑った顔を見せる。
本当、何言ってんだよ……?
小宮山はいつだって真面目で……本当にクソ真面目で……
委員の仕事もそれ以外も、どんな雑用だって1人でコツコツと、すべてを完璧にこなしていた。
例え何があったって……そう、オレに犯されたあん時ですら、授業をサボったりなんかしなかった。
そんな小宮山が、試験問題をハッキングだって?
そんなことするはずないじゃんか!
みんなのざわめきが一瞬で静まり返り、大石の胸ぐらを掴むオレの手に、英二、そう言って不二が手を添える。
はっと我に返り、ごめん、大石……そうその手を離すと目を伏せて、それから一歩後ずさりをした。