第39章 【セフレトモトカレ】
「へー、それは大変だったな」
一通り不二が大石に事情を説明し、ところで、大石、そちらは?そう問いかける。
そこには爽やかそうなイケメンが立っていて、大石の高校の友達かなー、なんてぼんやりと考えた。
「ああ、紹介するよ、一緒に短期留学していた香月くんだ」
うちの生徒会長なんだ、なんて大石が紹介して、生徒会長同士、不二がよろしくなんて挨拶をする。
その光景を眺めながら、そういや大石の学校って小宮山の中学で、あいつ生徒会だったじゃん……なんて前に小宮山の部屋で見た卒業アルバムを思い出す。
「ねぇねぇ、香月ってさ、中学も同じ?んでもって生徒会だったりした?」
「え?ああ、中学も同じで生徒会長だったけど……?」
英二!馴れ馴れしいぞ!なんて大石に怒られる中、香月と言うその生徒会長は、オレの馴れ馴れしい態度と突拍子もない質問に戸惑いながらも笑顔で答えてくれて、ふーん、こいつ、小宮山の知り合いなんだ……なんて笑顔の奥で考えた。
「大石、ニューヨークはどうだった?」
「ああ、とても良い経験になったよ、越前ともあって久々に打ち合ってきたんだ」
そう言ってラケットを手に目を輝かせる大石の話を聞きながら、おチビ、元気だった?なんて言って国内線のロビーにむかう。
「はは、英二、もう『おチビ』なんて言えないぞ?」
「マジでー?でもおチビはおチビだもんね!」
そうロビーで話をしていると、数名の同い年くらいの女子グループの笑い声が聞こえて来て、条件反射で何となく視線をむけると、その中に小宮山の姿が見えてすげーびっくりした。
なんでこんなところにいんだよ?そう思うと同時に、なんだ、小宮山、友達いんじゃん……なんて思って、あの日、オレの部屋で小宮山にぶつけた暴言を思い出して胸が痛んだ。