第39章 【セフレトモトカレ】
「不二ー、ちゃんとお土産、買ってきてねん♪」
今日は不二がインターハイで地方に出発する日で、サポート役の乾と、他に海堂と桃も一緒に行くことになっていたから、オレとタカさんはそんな彼らを見送ろうと、みんなと一緒に駅に向かっていた。
「英二先輩!本当に鳴海とはなんもなかったんでしょうねー!?」
そう隣でしつこいくらいに桃が芽衣子ちゃんとのことを聞いてきて、本当になんもないって、なんて、桃からも、あの日の苦い思い出からも目をそらしてた。
「え?新幹線が車両故障?」
途中、乗る予定だった新幹線の車両故障なんて、信じらんないトラブル発生の連絡が入って、どうすんのさ?なんて心配したら、すぐさま乾が変わりに飛行機のチケットを手配したそうで、ほんと、頼りになるよね、そう言ってみんなで胸をなで下ろした。
「あ、大石の出迎え出来んじゃん!」
「大石?ああ、短期留学でニューヨークに行ってるって言う?」
「そうそう、それそれー、ちょうど今日、帰国すんの」
ニューヨークから帰国する大石と見事に時間が被っちゃってたから、迎えに行くのは断念してたんだけど、思いがけないトラブル発生で、おーっし、みんなで出迎えて、大石をびっくりさせちゃる!なんてうししと笑う。
空港に着くと、ちょうどニューヨークからの飛行機の到着を告げるアナウンスが流れてきたから、国際線の到着ロビーで大石を待ち伏せする。
「おーいし!こっちこっちー♪」
「英二・・・!それにみんな、これはいったい、どうしたんだ?」
不二、インターハイは……?まさか、何かあって出場取り消しなんてことはないよな……?そう相変わらず先走って青い顔をする大石に、へへーん♪驚いたろー?そう鼻を擦ってニイッと笑うと、自分の思惑通りになったこの状況を喜んだ。