第37章 【サイゴノオモイデ】
はぁ……オレ、何やってんだよ……?
荒い息が整うに連れて段々と冷静になって行き、オレの下で微睡んでいる芽衣子ちゃんから視線を逸らす。
身体を起こしてベッドの縁に座り、事後の処理を済ませて、あー、もう!そう頭をかき乱す。
あんなに芽衣子ちゃんには、手を出さないって言ってたのにさ……
バレたら、桃、怒んだろうなぁ……そう肩を落としてため息をつく。
「菊丸先輩……」
そっと芽衣子ちゃんがオレの身体に腕を回し、背中に身体を寄せて甘えてきたから、あぁ、そうか……って気が付いて、その頬に手を添えてキスしようとしたけれど、あー……ってためらいその手を離す。
「ゴメン、芽衣子ちゃん……、オレ、そう言うの、しない主義……」
芽衣子ちゃんの頬から手を離すと、気まずくてまた背中を向けて足元に視線を落とす。
あ、はい……、そう悲しそうな声で返事をした芽衣子ちゃんは、オレの身体に回した手を名残惜しそうに引っ込めた。
芽衣子ちゃんにキスしようとした瞬間、小宮山にキスしたときの幸せそうな顔が浮かんできて、思わずキスするのをやめた。
小宮山なんか関係ないじゃん……?そう思ったんだけど、頭に浮かんでいる小宮山の幸せそうな顔はすぐに泣き顔に変わっていって、ズキンと胸が痛んでそのまま芽衣子ちゃんに背中を向けた。
芽衣子ちゃんの顔も見れなくて、足元に散らばる服を拾い集めると、ほいって後ろ手でそれを渡す。
芽衣子ちゃんの落ち込む気配を背中に感じるんだけど、それ以上何もしてやれなくて、ただ黙々と自分も着替えを済ませた。
さっきまでオレの腕の中で、何度もオレが好きだと声にしていた芽衣子ちゃんを思い出す。
そういや、オレ、小宮山から直接好きって言われたことないな……
ぼんやりとそんなことを思ってまた足元を見つめた。