第37章 【サイゴノオモイデ】
「……だったら……せめて、一度だけ……」
オレに引き離されて悲しそうな顔をして俯いた芽衣子ちゃんは、そう言って顔を上げて、上目遣いでオレを見上げてくる。
「一度だけでいいです……最後の思い出にしたいから……」
そんな風にベッドの上で迫られて、しかもそれがすげー好みのタイプの子からで、ましてやここにはやる気満々で来ている訳で、既にアルコールまで入っている状態で……
この状況で、この頼みを断れる男子高校生が、世の中にどんくらいいんのかな……?
そう思うと一生懸命、理性でおさえていた本能が、一気にパンッと弾け飛ぶ。
「あー、もう!オレ、本当、すげー最低なんだかんな!」
そう叫んで芽衣子ちゃんを押し倒すと、その身体に跨がって、誘ったのはそっちだってこと、忘れないでよね!そう言って念を押す。
「いっとくけど、芽衣子ちゃんのこと、好きになったりしないし、本当、今、ヤりたくてヤるだけだから、後で文句とか言わないでよ?」
そう言って上から見下ろすと、私、言いません、菊丸先輩のことも誰にも……、そう芽衣子ちゃんはオレの首に腕を回して目を閉じる。
その瞬間、桃、ゴメン!そう心の中で桃に謝ると、芽衣子ちゃんの唇に自分のそれを重ねあわせ、それから一気に舌を絡ませる。
「んっ……あぁん……ん、はぁん……」
角度を変えて繰り返す度に、芽衣子ちゃんの口からは甘い吐息が溢れ、服の裾から滑り込ませるオレの手をあっさり受け入れ身体を開く。
そうなるともう何も考えらんなくて、自分の欲望にただ素直に、興奮するままその身体を求めていく。
「んああっ……あ、先輩!、菊丸せんぱぁい!!……好き……大好き!!」
そう必死にオレへの想いを叫びながら、どんどん快楽に溺れていく芽衣子ちゃんとは対照的に、快楽の果てにある瞬間だけをただ無心に目指して突き進む。
「ああっ!先輩っ!……センパイッ!!大好きっ!あぁぁぁ!!」
芽衣子ちゃんが身体を反らせて痙攣したのを確認すると、オレも欲望を吐き出し、その身体に自分の身体を預けた。