第37章 【サイゴノオモイデ】
はは、この状況で隣に座る……?
そう苦笑いしながら芽衣子ちゃんの様子を伺うと、芽衣子ちゃんはただ黙ってうつむいたまま、ギュッと拳を握って座っているから、んー……って薄暗い天井の照明を眺めながらちょっと考える。
「だいたい、なんであんな奴らについてきたのさ……?」
いつも積極的だけどさ、ここに来てるようなビッチ連中とは違うじゃん?そう言って芽衣子ちゃんに視線をむけると、芽衣子ちゃんは少し戸惑ったあと、意を決したようにオレの顔を見上げる。
「私……先輩に振られて……毎日悲しくて……本当に悲しくて……、なんか、もうどうでもいいやって思って……」
そう肩を振るわせて涙を浮かべる芽衣子ちゃんに、マジかよーって、オレのせいかよーって頭を抱えて大きなため息を付く。
そう言うのマジやめて、オレ、こんなんだけど、結構、気にするタイプだから、マジやめて!、そう慌てて苦笑いして手をバタつかせる。
「……すみません……」
そう謝るとまた俯いて肩を振るわせる芽衣子ちゃんに、フーッともう一度大きくため息をついて、本当、悪かったからさ……、そうオレも呟くように謝った。
「あの……菊丸先輩……」
しばらく沈黙が続いた後、隣で震えるように泣いていた芽衣子ちゃんがそう声をかけてきたから、ん?って視線をむけると、芽衣子ちゃんは真っ赤な顔でオレを見上げていた。
「先輩、私のこと嫌いですか……?」
「へ……?」
そう真っ直ぐに向けられる視線にいたたまれなくて、嫌いじゃないけど……?そう戸惑いながら答えて視線を泳がせる。
芽衣子ちゃん、この雰囲気……まさかねぇ……?
いやいや、さすがにそりゃないでしょ……
そう内心苦笑いしながら芽衣子ちゃんに視線を戻すと、芽衣子ちゃんはまだ潤んだ瞳でオレを見ていて、それから、オレのシャツの裾をギュッと握りしめた。