第37章 【サイゴノオモイデ】
「おまえ、そういやまだヤってんのかよ?前に言ってた学年首席の女!」
急に仲間の1人が思い出したかのようにそう言うから、ここでまで小宮山の話題が出んのかよ?そう思うと思いっきり顔に出て、んなわけねーじゃん、そうレモンサワーをグイッと飲み、グラスを乱暴に音を立ててテーブルに戻す。
「なぁに?学年首席の女って?」
「前に英二、あんま来なくなったときに言ってたんだよ、すげーイイ学年首席とヤってるって」
……そういや、んなこと言ったこともあったっけな……なんて思いながらため息をついて、あん時のお気楽な自分に後悔する。
結局、一学期の最終日にあの公園で不二と話をした後も、小宮山にはいっさい連絡しなかった。
直接顔を合わすと冷静でいられる自信がなくて、だったらって『もう二度と連絡しないから』そう何度かメールを打ち込んだけど、なかなか送信できなくて……
なんでオレ、こんな簡単なことも出来ないんだよ?なんて自分に腹立って、それから小宮山が泣くから悪いんじゃん!なんてそのたびにイライラして頭をかき乱した。
「別にたいしてヨクないよ、あんな身体だけのツマンナイ女……」
そうあざ笑いながら呟くと、イライラと同時になぜか胸が痛んでそんな胸の痛みにも腹が立った。
「その様子だと、またひでー捨て方したんじゃねーの?」
「別に……?黙って待ってろって言って、そのまま連絡してないだけだって」
十分ひでーから、いつか刺されんぞ?、そう口々に笑うみんなに、別に平気だもんね、オレ、大抵の攻撃避けれるから、なんて一緒になって笑うと、もういいじゃん、あんな女の話題なんてさ、そう言って一気に残りのレモンサワーを飲み干して、よく分からない胸の痛みを洗い流す。
「ねぇ……英二ぃ、だったら今夜は私と楽しもうよ……?」
さっきキスした女が、オレの首もとに唇を寄せながらすり寄ってくる。
甘ったるい香水の香りがいかにもここの女って感じで、くだんねー……なんて内心思いつつ、別にいいよん?、そう返事して、それからもう一度、今度は深いキスをした。