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【テニプリ】闇菊【R18】

第36章 【セイフクデート】




光丘の駅から自宅にむかうと、夕焼け空はすっかりと藍色になっていて、沈む直前の朱色と綺麗なグラデーションを描いている。


まるで吸い込まれるように公園へと足を向けると、ランニングしている人たちを、オレも中学の頃はここで走り込んだりしたっけな、なんてボーッと眺める。


しばらく歩いて反対側の東屋のベンチまで来ると、そっとその背もたれに手を突いてそれからゆっくり腰を下ろす。


フーッとため息を突いて身体を投げ出すようにもたれ掛かると、そっと痛む胸のボタンを握りながら足元に視線を落とした。


「……アイツ、ちゃんと笑った?」

「僕と一緒にいるときはね、今頃は……どうかな」


視線に入った不二の靴に問いかけると、やっぱ泣いてるよな……そう思ってまたため息を落とす。


「あの一年生の子は……?桃の好きな子だよね?」

「……さっき振った」

「可哀想に、英二に振り回されて、彼女も、小宮山さんも」


そう言って隣に腰を下ろした不二からは、微かに小宮山の香りがして、胸のボタンを握る拳に力を込める。


「……今まで一緒だったのかよ?」

「さっき自宅に送り届けてきたところだよ」

「ヤってきた?」

「そんなはず無いだろう、全く、英二は……」


説教しに来たのかよ?、そう苦笑いしてちらっと視線をむけると、しないよ、小宮山さんに止められているからね、そう言って不二はため息をついた。


「……告んねーの?」

「言わないよ、小宮山さんを困らせるだけだからね」

「あっさり認めんね」

「だからって僕に遠慮したら許さないよ?」


しないよ、小宮山、もともとオレんだもん、そう言って手をひらひらさせて鼻で笑うと、だったらどうして連絡してあげないの?そう不二は怖い顔でオレを真っ直ぐに見つめる。


やっぱ説教じゃん、そう首をすくめると、イライラするから、そうポツリと呟いて深いため息をついた。

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