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【テニプリ】闇菊【R18】

第34章 【タイイクサイニテ】




「……そう言えば、海堂、不二先輩の彼女は?」


自分の席に戻りながら、そう言った桃の言葉を思い出す。
小宮山、相変わらず覗いてたのかよ、そう思うとまた胸の奥から沸き起こる負の感情にチッと舌打ちをする。


ったく、どんだけオレの周りをウロウロすれば気が済むんだよ……


流石に昨日オレに、屋上でうぜーって、黙って待ってろって、そう言われてからは、もう小宮山は何も言ってこなくて、委員会でも今日の体育祭本番でも、オレと協力してやらなきゃいけない仕事も黙ってひとりでこなしていた。


そんな小宮山に悪いなって気持ちもない訳じゃないんだけど、時々感じるオレの様子を伺うあの視線とオドオドしたその態度に、ますますイライラして、それが小宮山への罪悪感を上回る。


ふーっとため息をついて頭をかき乱した。


「菊丸先輩、ちょっといいっすか?」


突然後ろから呼び止められて振り返り、なにー?薫ちゃん、なんかまだあった?そう言って笑顔を作る。
オレを呼び止めた海堂はさっきと同じように真っ直ぐな目でオレを見ていた。


「……小宮山先輩って本当に不二先輩の彼女なんすか?」


何だよ、海堂まで小宮山の話題かよ、そう一瞬ムッとするも、さー?オレもよくわかんにゃいよん、そうおどけて返事をすると、くるりと背中を向けて後ろ手をヒラヒラさせる。


「小宮山先輩、鳴海と親しげに話す菊丸先輩を見て、必死に泣くのを我慢してるように見えました」


アレでは、不二先輩の彼女と言うより、まるで菊丸先輩の……そう続ける海堂の言葉を、だったら何だって言うのさ?そう低い声で制止する。


海堂までオレを責めんの?そうチラッと視線だけむけて嘲笑うと、言葉を詰まらせた海堂は、それから気まずそうに目を伏せた。


「これはオレと彼女の問題なの!海堂にはカンケーないじゃん?」


そう言ったのは薫ちゃんでしょ?そう言ってニイッと笑うと、……そうッスね、そう言って海堂はフシューっと大きく息を吐いて、それから失礼しますとオレに背を向けた。

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