第33章 【オイテケボリ】
「……大丈夫だよ、誤解される心配はないからね」
決意した私にそう答えながら不二くんは目を伏せたから、不二くん……?そう不思議に思って首を傾げる。
どうしてですか……?そう小さく聞く私に、……キミと同じだからだよ?そう顔を上げた彼は少し寂しそうな笑顔を見せた。
……私と同じ……?
私の場合は、大好きな英二くんは全部事情を知っていて……それ以上に彼にとって私のことなんかどうでも良いことで……
もしかして不二くんも辛い恋をしているのかな……?
こんなにステキな不二くんでも、辛い恋に心を痛める事ってあるのかな……?
思わず不二くんのその憂いを秘めた顔をジッと見つめると、そんな私の視線に気がついた彼はまたいつもの優しい笑顔に戻った。
「……あの、私に出来ることがあったら何でも言ってくださいね……?」
……とはいっても、私に出来る事なんて話を聞くことくらいかもしれませんけど、そう言ってそっと微笑むと、小宮山さんにきいて貰える日がくるかな……?そう不二くんはまた少し寂しそうに笑った。
不二くんには沢山お世話になっているから、出来る限りの事はしてあげたいな……
そんな風に思いながら、その不二くんの寂しそうな笑顔をもう一度見つめて、そっと胸をおさえた。