第33章 【オイテケボリ】
教室を後にすると、なんとなく一人になりたくて、いつものように屋上へと向かう。
ギギーッっと鈍い音をたてるドアを開けると、青空に出迎えられて、気持ちいいな、そう深呼吸する。
更に高い入り口の上にのぼると、寝っ転がって空を仰ぐ。
晴れ渡る空に手を伸ばしては、そのままため息をついて静かに引っ込める。
同じこと、何回やれば気が済むんだよ……引っ込めた手をそのまま握りしめ、手の甲で顔を覆うと自分を嘲笑う。
……そういや、前にここでヤった後、小宮山も同じ事してたっけな……
ふと浮かんでくる小宮山の悲しげな顔。
目があった途端、沸き起こる負の感情をおさえきれなくて、思い切り顔に出して目をそらした。
なんで一晩寝てもこのイライラが消えねーんだろ……?
今まで小宮山のことが面倒になったって、一晩寝ればそんな気持ちどっかに飛んでってたのにさ……
ふーっとため息を落として沈む心に身をゆだねる。
小宮山の事が解決したのは素直に良かったと思う。
やっぱオレが元凶にあるし、こんな風になるまでは、すげー悪いと思ってたから。
でも何時までも解決した後のあの和の中に居たくなくて、笑顔を作るのが苦しくて、あの場から逃げるように立ち去った。
もう一度、大きくため息をつくと、心と同じように身体も沈んでいく感覚に襲われる。
あー……眠いー……不二のやつに朝早く起こされたから……
寝たらこの小宮山へのイライラ……どっかに消えてるかな……?
登校する生徒達の楽しげな声が段々遠のいていって、そのまま、深い闇に吸い寄せられていく……
落ちていく深い闇の底に、膝を抱えて泣きじゃくる、自分のすげー情けない姿が見えた気がした____