第31章 【シンユウ】
「どう、して……?」
そう声を振りしぼる私に、だって璃音の癖に生意気なんだもん、そうナオちゃんはにっこりと笑って答えた。
「璃音の癖に私より男子から人気があって、璃音の癖に私より成績だって良くて、しかも璃音の癖にあの香月くんと付き合っているなんて」
こんな生意気な話、ないじゃない!そう言ってナオちゃんは私の顔をギロリと鋭い目で睨みつけた。
そのナオちゃんの顔にゾクッと身体に冷や汗をかいた。
目の前の現実を受け入れたくなくて、頭の中でそれを否定した。
だってナオちゃんは1人でいる私に声をかけてくれて、みんなと仲良くなれるよう気を配ってくれて、嫌がらせを受ける私をみんなから庇ってくれて……
お願い、嘘だって言って、冗談だよっていつもの優しい笑顔で笑って、そう必死に願った。
「だからあれほど言ったじゃない、璃音は妬まれてるんだって……」
必死に願う私の耳に聞こえてきたのは、そう言って私をあざ笑うナオちゃんの言葉だった。
どうして……?
今までのこと、全部嘘だったの……?
私のこと、親友だって言ってくれたのは何だったの……?
信じられなくて、信じたくなくて、震える身体をギュッと抱きしめて、下唇を噛みながらそれに耐えた。
「ついでに言うとね、最初に璃音に話しかけたのだって、ボッチに優しくすれば私の印象が良くなるからだから」
そんな震える私に、ナオちゃんは絶望的な言葉を浴びせると、何故か生徒会室のドアを開け放ち、それから私の元に歩み寄りながら、見る?そう言って携帯を目の前に差し出した。
恐る恐る覗いたそこには、他の女子達と一緒になって私のことをバカにする、LINEのグループチャットが映し出されていた。
……現実なんだね……
全部、最初から嘘だったんだね……
その瞬間、堪えきれなくなった涙が次々とこぼれ落ちた。