第31章 【シンユウ】
一学期の期末考査が目前に迫ったある日、登校してみると、職員室が重々しい雰囲気で包まれていた。
何かあったの?そう不思議に思っていると、ナオちゃんがどこからか情報を仕入れてきてくれて、どうやら職員室のパソコンがハッキングされたらしいということだった。
セキュリティー甘いんじゃないの?、物騒だね、そんな風に話をしたその日の午後、突然、担任の先生から生徒指導室に呼び出された。
中には校長先生や教頭先生、生徒指導の先生など、沢山の先生方がズラッと控えていて、その重々しい雰囲気に尻込みしながら、どんなご用件でしょうか?そう恐る恐る問いかけた。
「実は色々調べた結果、ハッキングは生徒会室のパソコンから行われたことが判明してね」
そう神妙な面もちで口を開いた先生に、思わず息を飲んだ。
生徒会室は関係者しか出入りできないようになっており、そのパソコンの暗証番号も一般の生徒には知られないように、生徒会執行部のみで厳重に管理していた。
先生方は、執行部の中に犯人がいるとお考えですか……?そう驚く私に、教頭先生は一枚の紙を差し出した。
不思議に思ってその紙をみると、今度はそのパソコンで書かれた内容に絶句することとなった。
【ハッキングしたのは生徒会執行部の小宮山璃音です。その証拠に彼女は試験問題をコピーしたUSBメモリを所持しています】
「ち、違います!私じゃありません!」
「もちろんこれを鵜呑みにする訳じゃないが、念のため身体検査をさせてもらうよ」
そう厳しい顔をする先生方に、分かりました、そう言ってため息をつくと、女の先生2人と一緒に隣の部屋に移動した。
本当にやましいことはないのだから、堂々としてなきゃダメ、そう強い気持ちで臨んだ身体検査だったけど、程なくして私のジャケットのポケットから本当にUSBメモリが発見された。
すぐに先生方が中身を確認すると、それには紛れもない期末考査の問題のデータが入っていて、違います!知りません!そう必死にそれを否定した。