第31章 【シンユウ】
「えぇ!?香月くんと!?」
「ナオちゃん、ダメ!シーッ!」
香月くんとの関係は、私の風当たりも考えて2人だけの秘密にしていた。
だけど、親友のナオちゃんにだけは……って思って、香月くんもいいよって言ってくれたから、思い切って打ち明けることにした。
ナオちゃんは凄く驚いていたけれど、そうだよね、黙っていた方がいいよねって納得してくれて、それから、おめでとう!そう言って抱きしめてくれたから、嬉しくて、ありがとうって涙がにじんだ。
「香月くん、璃音のこと、よろしくお願いします」
そうナオちゃんは私の肩に手をおいて、香月くんに笑顔を向けるから、私も慌ててヨロシクオネガイシマスなんて頭を下げて、僕の方こそよろしくって香月くんもそれに答えた。
それからそんなやりとりが可笑しくて、3人で顔を見合わせてクスクス笑った。
「香月くん、内緒なのは仕方がないけど、いざとなったら璃音のこと守ってあげてね?ほら……妬まれているからさ」
「もちろんだよ、小宮山さん、辛いときはちゃんと言うんだよ?僕が必ず何とかするから、生徒会長としても、彼氏としても……」
大好きな2人が守ってくれると思うと心強くて、ただそれだけでどんな嫌がらせも怖くないと思った。
「小宮山さん、今回の模試、凄く調子が良かったみたいだね」
「うん……香月くんが教えてくれたから……」
ある日、いつものように生徒会室で、香月くんと戻ってきたばかりの模試の結果について話していて、前回よりだいぶ成績が伸びた私の髪を彼が優しく撫でてくれると、お二人さん、今日は私もいるって事忘れてませんかー?そう言ってナオちゃんが咳払いをした。
慌てて香月くんは私の髪から手を離し、私は恥ずかしくて真っ赤な顔で俯いて、そんな私達に、はいはい、ごちそうさま、なんてナオちゃんは苦笑いをした。
「それにしても、璃音はいいよねー、こんなかっこいい彼氏がいて、勉強も順調で、私なんて今回最悪ー……」
そんな風にため息をつくナオちゃんに、たまたまだよって返事をすると、よーし、次の期末は負けないからね!そう言ってナオちゃんは笑った。