第31章 【シンユウ】
三年生に進級する頃になると、すっかり笑顔も板についてきて、ナオちゃん以外のみんなとも話が出来るようになっていた。
クラス替えでまたナオちゃんと同じクラスになれて、良かったねって2人で喜んでいると、本当仲良いよねってみんなが声をかけてきて、そんなみんなに、だって親友だもんね!ってナオちゃんは笑った。
勉強のほうも特に問題なく、定期考査もいつも上位の成績をキープする事が出来て、もともとの真面目な性格から、先生に推薦されて生徒会執行部にも入っていて、充実した学園生活を送っていた。
その頃になると思春期特有の心と身体の成長とともに、周りの友達も少しずつ変化していって、みんなの話題の中心は、何組の誰がかっこいいだとか、誰と誰がつき合っているとか、そんな色めき立ったものになっていた。
だけど私はまだ人を好きになる気持ちなんて分からなくて、璃音だからねー、なんて笑うみんなに、酷いー、なんて言って頬を膨らませて、またみんなで笑いあった。
その頃から私は、時々、告白されるようになった。
あまり話せない癖にナオちゃんのアドバイス通り笑顔だけは心がけていたからか、物静かで笑顔が可愛い子なんて言われて、持って生まれた顔付きも男子達から受けたようで、生徒会執行部なんて入っているから顔も知れ渡っていて、ちょっとした有名人になっていた。
だけど私はそんな彼らからの告白に、いつも小さい声でごめんなさいと謝るのが精一杯で、そんなことが続くうちに、女子の間から不満の声があがるようになっていた。
璃音だからねー、そう言っていたみんなも、だんだん私を見ると眉をひそめるようになった。
「ちょっとモテるからって、最近、調子に乗ってるよね?」
そんな言葉を口々にするみんなに、璃音はなにも悪くないでしょ!そうナオちゃんはいつも怒ってくれた。
「気にする必要ないよ?妬んでるだけなんだから!」
「うん、ありがとう、大丈夫、平気」
決して強がりなんかじゃなかった。
大好きな親友が理解してくれたから、周りからなにを言われても平気だった。