第27章 【シンパイ】
「あの……不二くん、英二くん、大丈夫だったんですよね……?」
黙々と歩く不二くんについて行き、学校からだいぶ離れて青学の生徒も見あたらなくなった頃、恐る恐るそう問いかける。
すると不二くんはこちらを振り返り、そうだね、そろそろ大丈夫かな?そう言って辺りを見回すと、そこの公園で話そうか、と少し先に見える公園を指差した。
……ここの公園って、もしかしてあの公園……?
公園の入り口の名前を見て思わず目を見開く。
案内図を見上げると、うちからはちょうど反対側の入り口。
へぇ……こちら側から来たこと無いから気がつかなかった……
青春台と光丘に跨がるこの公園は、住宅地の中にある割には大きめで、反対側まで来ることは滅多になく、お気に入りの公園だというのに馴染みない雰囲気に戸惑いながら、木陰のベンチに不二くんと腰を下ろす。
「英二は大丈夫だよ、僕が駆けつけた時はだいぶ辛そうだったけど、意識を失う前に助けることが出来たしね」
小宮山さんのおかげだよ、そう言って不二くんは私に笑顔をむけたから、ホッと胸をなで下ろす。
良かった……本当に良かった……安心すると同時に目から涙がこぼれ落ち、慌ててハンカチで涙を拭う。
僕が言うのも変だけど、本当にありがとう、そういう不二くんに、ただフルフルと首を横に振る。
「私は何も……ただ夢中で……」
「そんなことないよ?キミがすぐに知らせてくれなかったら、あのまま英二はひとりで苦しみ続けていたはずだからね」
そう言って優しく笑う不二くんに、もしそうなら良かったです、そう言って私も自然と笑顔になってしまい、慌てて顔を引き締める。
そんな私を見た不二くんは、残念だな、そうポツリと呟くから、え?って首を傾げて聞き返すと、何でもないよ、そう言って彼はもう一度笑った。