第27章 【シンパイ】
ううん、心当たりあるじゃない……
不二くん、頑張って言い訳を考えてくれたんだ……そう以前、不二くんに呼び出されて一緒に屋上へ向かったときの事を思い出す。
あの後、そのことで数名の女子に囲まれて、生徒会執行部に勧誘した、そう不二くんが言い訳してくれたんだけど、その後、本当に勧誘されて、でも断って……
結局、今回のことで本当に生徒会執行部に入ることになりそうだな……なんて思ってこっそり苦笑いをする。
「ええ、そのことでちょっと不二くんに確認したいことがありまして……」
そう肯定したところで私の存在に気がついた不二くんがこちらに笑顔をむけるから、その笑顔にペコッと頭を下げる。
「小宮山さん、僕もキミのところに行こうと思っていたんだ」
キミの方から来てくれるなんて嬉しいな、そうドアのところに来てくれた不二くんに、そう言う冗談を言うと、せっかくの言い訳も無駄になるんじゃ?なんて内心冷や汗をかく。
「さっきはだいぶ慌てていたけど、生徒会室のパソコン、大丈夫だったから安心して?」
そう不二くんが優しく微笑んで言うから、すぐに英二くんの事を言っているんだなってわかって、その言葉にホッと胸をなで下ろす。
「あの、迷惑でなかったら、詳しく教えていただきたいのですが……」
もっとはっきりと英二くんの無事を確かめたくて、そっと周りを伺いながらそう言うと、そうだね、行こうか、そう不二くんはラケットバッグを肩に掛けると笑顔で教室を後にする。
行こうかってどこに?なんて思いながらも、とにかく英二くんのことを早くはっきり知りたくて、どんどん進んでいく不二くんの後に続いて私も歩き出す。
「ゴメンね、うまい言い訳が思いつかなくて、勝手に執行部に入ることにしちゃって……」
程なくしてそう言いながら不二くんが振り返り、申し訳なさそうな顔をするから、いえ、助かりました、そうゆっくり首を横に振る。
でも平役員で勘弁してくださいね?なんて言うと、それでも助かるよ、そう言って不二くんは笑った。