第27章 【シンパイ】
放課後になると意を決して不二くんの教室に向かう。
あんなことがあった後だし、なおさら目立つだろうけど、それでも英二くんの事が気になって、それどころではなかった。
席を立ったところでいつもの女子達がなんか言ってきたけど、急いでいるので失礼します、そうサッとそれを交わして教室から出る。
ちょっと待ちなさいよ!そう叫んでいるのが聞こえたけれど、待てません、そう言って歩みを速めた。
あの調子だと、もう昼休みに不二くんの教室に飛び込んだことが知れ渡っているんだろうな、そう急ぎながらため息を落とす。
何かあるとすぐにSNSで一気に拡散されてしまうこの時代、私の行動は既に多少の好奇の目に晒されていると同時に、少なからず反感も勝っていることだろう。
明日からは、今まで以上の嫌がらせも覚悟しないといけないだろうな、そう夢中でしたことに後悔はしてないけれど、少し憂鬱な思いも隠しきれない。
それでもこれからその不二くんを訪ねようと言うのだから、あんなに目立たないようにしてきたのに、私、本当に英二くんのためなら何でもするんだな……そんな自分に苦笑いをする。
不二くんの教室まで来てみると、あの騒動を引き起こした張本人だから、やっぱりみんなの視線が痛すぎて、不二くんにもこんな思いさせてしまったのかな?って申し訳ない気持ちになる。
ふーっとため息をついてグッと胸を押さえると、意を決して不二くんの教室を覗き込み、教室の隅の席で荷物をまとめている不二くんの姿を確認する。
「すみません、不二くん、呼んでいただけますか?」
そう、ドアの近くの席の人に声をかけると、あ!って顔をしたその人は、小宮山さん、生徒会執行部に入ったんだってね!そう心当たりのないことを突然言い出したから、意味が分からず首を傾げた。