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【テニプリ】闇菊【R18】

第26章 【イタイノトンデイケ】




「小宮山さん!?」


いったいどうしたの?そう私のただならぬ様子に慌てて駆け寄ってきてくれた不二くんを見た瞬間、ほっと安心すると同時に、どうしようもなく痛くて苦しい胸をおさえながら、助けて、そう必死に声を振り絞って懇願する。


すると目を見開いた不二くんは、まるでその一言で全てを察したかように、どこ?そう聞いてくるから、体育館裏と彼にしか聞こえないように小さい声で答える。


不二くんは私から場所を聞いた途端、そのまま教室を飛び出して、それからドアの所でチラリと私の方を振り返り、小宮山さんも!そう声を掛けてくれたけど、私は黙って首を横に振る。


本当は私だって行きたい、英二くんが心配でたまらない。
だけどあんなふうに拒否されてしまったら、私は絶対行ってはダメだもの……


早く行けって!そう声を荒げた英二くんをもう一度思い出し、また次々と涙が溢れ出す。いっそう心が痛みだし、必死に震える拳で胸をおさえる。


それからドアの所に手を添えて、どんどん小さくなる不二くんの背中を眺めながら、不二くん、お願い、英二くんを早く助けて……そう心の中で必死に願った。


「なに?どういうこと?」

「あれって小宮山璃音だよね?」


ふとそんな声が私の耳に届き、慌てて回りを見回すと、当然だけど教室中の視線が私に集中していて、みんな口々にそんな疑問の声を上げていた。


さっきまでは夢中だったから気付かなかったけど、こんな大勢の前で泣くなんて!


慌ててグッと涙を拭うと、お騒がせしました、そう頭を下げてその教室を後にする。


私が教室の扉を閉めた途端、教室内は大きなどよめきに包まれたけど、でも私にはそんなことなんかどうでも良くて、今はただ必死に英二くんを思って祈り続けた。

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