第25章 【ランチタイム】
「芽衣子ちゃん、気持ちはありがたいけどさ、それだとキミの弁当がなくなっちゃうじゃん?」
うーん、ここはやっぱ断っとこ、そう思って芽衣子ちゃんに歩み寄り、オレなら何とかするからさ、そう言って笑いかけると、名前呼びッスか!?って慌てて桃がオレに突っ込みを入れる。
だって芽衣子ちゃんって感じじゃん?そう言って彼女にウインクすると、ますます真っ赤な顔をした彼女は、急いで弁当の包みを開ける。
「あの、だったらせめておにぎりだけでも……」
そう言って可愛い包み紙に包まれた小さなおにぎりを2つ、上目遣いでオレに差し出すから、上目遣いもいーねー、なんて思いながら、だったらいっこもらうー、半分こね♪そう言ってそのうちのひとつを受け取る。
良かった、そうホッとした顔をする芽衣子ちゃんは本当に可愛くて、あー、やっぱすげータイプかもー、そう思ってその顔をマジマジと見つめると、そんな彼女と目があって、彼女はあわてて俯いて、それから恥ずかしそうに笑った。
「ほい、おにぎりのお礼ー、菊丸印の魔法のキャンディー!なめると笑顔になれるよん♪」
そうポケットから飴を取り出して、ニイッと笑って差し出すと、彼女はそれを震える手で受けとって、嬉しそうにぎゅっと胸の前で握りしめる。
「鳴海、騙されんなよっ!英二先輩はこんな可愛い振りして、実は女なら誰でもいい、すげー女ず……」
「桃ぉ~?」
すげー女好き、そう言おうとしたであろう桃の言葉を打ち消すと、怒りマーク入りの笑顔で振り向いて、その憎らしい頬をギューッと思い切り引っ張る。
「やだなー、桃ちんは、冗談きついんだからー」
「ひゃ、ひゃめふぇくひゃひゃいひょ、へーひふぇんふぁーい……」
全く、桃ったら人聞きの悪い、誰でもいいわけ無いじゃん!やっぱある程度のレベルはクリアしてないとねー……ってよけい最低か。
酷いっすよ、英二先輩ー、そう頬をさする桃に苦笑いしながら、んじゃ、芽衣子ちゃん、ほんとにあんがとね♪そう笑顔で彼女に手を振って、ついでに桃ちんもじゃーねー、そう言って教室を後にした。