第24章 【ネコトイヌ】
「……どうでもいいけど、今朝の朝食当番、英二だからね?」
閉められた扉がすぐにもう一度開いたと思ったら、ひょこっと顔を覗かせたねーちゃんが、あんたちゃんとわかってる?って言うから、うわっ、やっべー!そうだった!って思って、慌ててねーちゃんの前に飛び出して顔の前で両手を併せる。
「ねーちゃん、一生のお願いっ!今日の朝食当番、交代して~!」
「……あんたの一生、いったい何回目よ?」
そう呆れて言うねーちゃんに、今度、ねーちゃんいるときに不二連れてくるからさっ!ってウインクすると、な、なに言ってんのよっ!そう言ってねーちゃんは顔を赤らめる。
ねーちゃん、不二のファンだかんね、オレには威張ってても、案外かわいいとこあんじゃん?なんて思いながら、んじゃ、頼んだよーって手をヒラヒラさせて洗面所へ向かおうと部屋を出る。
「でも結婚はしないでね?オレ、不二のこと、にーちゃんって呼びたくないから」
部屋を出る間際に、あ、そーだっ!って立ち止まり、そうねーちゃんを見てニヤリと笑うと、バ、バカッ!そう真っ赤な顔をしたねーちゃんはオレに枕を投げつけた。
「ったく、脱いだパジャマくらい、ちゃんとたたみなさいよね」
洗面所へ歩き始めたとき、開けっ放しの部屋から、そう言うねーちゃんの声が聞こえたから振り向くと、大五郎に引っかかってるじゃない、そうため息つきながらパジャマを回収して、大五郎を起こそうとするねーちゃんが見えた。
「させないっ!」
次の瞬間、気がつくとそう声をあげていて、ねーちゃんから大五郎を奪い取ると、その顔をキッと睨みつけていた。
突然豹変したオレに一瞬驚いた顔をしたねーちゃんは、……わかってるわよ、そうため息をついて、ベッドの上にたたんだパジャマを置くと、朝食当番、一回貸しだからね?そう言ってドアへと向かった。