第24章 【ネコトイヌ】
「ふぃーっ、やーっとすっきりしたー♪」
メールでの約束通り、朝練終了後に更衣室で着替えを済ませると、ひとり倉庫に戻っていつものように彼に身を任せる。
行為を終えると、そう満足げに学ランに袖を通しながら言う彼に、苦笑いして乱された制服を着直す。
「まーったく、小宮山が朝さっさと来ないから、余計な我慢する羽目になっちゃったじゃん!」
オレ、どうせ早く来るなら、みんなが来る前に小宮山とヤりたかったのにー、そう私に背をむけたまま後頭部で腕を組んで、しずめんのだって大変なんだかんな!って頬を膨らませる英二くんに、そう言われましても……と苦笑いをする。
そんなこと言われたって、私、金曜日に英二くんに無視されたから、足取り重く登校したくらいだし、あれ以上早く行って英二くんと……なんて思いつきもしなかったもの。
だいたい、しずめる羽目になったのは、もうみんな来る時間なのに、そう言う行動に出た英二くんが悪いんじゃないの?
男の人の身体のことはよく分からないけれど、そう心のなかで疑問に思う。
いい加減、オレの考えてることくらい、ちゃんとわかれよなーって続ける彼に、私には英二くんとシンクロするのは無理ですよ、そう聞こえないように小さい声で呟くと、ん?何か言った?って英二くんがニイッと笑って振り返る。
何も言ってませんよ?、そう英二くんに精一杯の笑顔をむけると、ふーん、そう言いながらこちらに歩み寄ってきた彼が、そっと私の頬に触れて顔を近づける。
私も英二くんとシンクロ出来たらいいのにな……英二くんとシンクロ出来たら、英二くんが考えていること、全部知ることが出来るのに……
そんな風に考えながら、そっと瞳を閉じて彼のキスを受け入れた。